著者:和田秀樹(精神科医)
三笠書房 知的生きかた文庫 2021年1月20日発売
とかく、この世は「マジメ」が損をすることが多い。
マジメな人はいくら普段から良いことを行っていても、当然のことと見られて褒められないし、評価されないが、ワルが突然いいことを行うと、手のひらを返したように賞賛される。
それに、さまざまな情報が氾濫している世の中を生きていると、「マジメ人間」からすると考えられないような行動で私腹を肥す輩とかが目につくし、人に迷惑をかけておいて恥じることもないどころか逆ギレする輩も目についてしまう。
生きづらい世の中になったと言われるが、そういう生きづらさを人一倍感じやすいのが「マジメ人間」の辛いところ。
感覚的なものだけではなく、マジメ人間の方が「うつ」のような疾患になりやすく、回復しにくいのも昔から言われていることで、実害もある。
そんなマジメ人間を救済とまでは行かないけれど、「マジメでいいんだ」と、ちょっと気持ちをラクにさせてくれるような一冊。
・・・とはいえ、「マジメ人間」に限って、「マジメな人間はこうあるべし」っていうハードルが高いから、「いやいや自分なんて、マジメ人間には入らないよ・・・」と思いがちなのもまた事実。
かくいう私なんかも、本書で言われているようなマジメ人間の特徴に当てはまる自覚はあるけれど、ホントに自分はマジメ人間と言っていいんだろうか?という葛藤も抱えつつ、本書を読み進めて行ったクチ。
また、終盤の方で「マジメを見直さないと日本が壊れる」と警鐘を鳴らしておられるが、私もこの点は強く同意する。
クレーマーが店舗や企業を、モンスターペアレントが教育現場を疲弊させ、萎縮させ、悪徳政治家やごく一部の忖度官僚やブラック経営者が仲間内だけを優遇して私腹を肥やし、企業や国を劣化させる。
ほんと、マジメに生きてきた人間が報われる、生きやすい世の中であって欲しい。